2011年10月7日金曜日

Keve & Eglash "Payments on 'a Debt to Society'" 1957


表題は「『社会への借り』を返すこと」でしょうか.


Paul Keve は a chief probation officer in Minneapolis とされています.Eglashは,Wisconsin State College のpsychology instructor で,デトロイトの市長オフィスのスラム街(Skid Row)改善委員会および,子どもと若者に関する委員会のスタッフであったとされています.


著者たちは,まず,ある受刑者が刑務所の中でテレビ修理を教えることになり,他の受刑者とともによい効果を得た.その後,修理の授業を終えるため,仮釈放の申請を遅らせたというエピソードを紹介し,つぎに,パイプの窃盗を行なった配管業者 Steve が,弁償するため被害者を定期的に訪問していたとき,公園にジャングルジムをつくるためのパイプの部品がないという,被害者の電話の会話をたまたま聞き,入手先を助言したところ,その組み立て作業をまかされ,その結果,公園全体のフェンスその他も作っていった,というエピソードを紹介して,

"As a part of restoring a sense of his self-worth, Steve also satisfied another important need, that of restoring a good relationship with the victim of his offense. ... Making it possible for the probationer to earn the respect and friendly feeling of the victim of his offense can be a healthful experience for him." (p.2)

とまとめています.ここで restore という言葉が,個人の尊厳を取り戻すということと,社会とその個人との関係を復活させるという,2つの意味で使われています.このエピソードは,Eglash の他の論文でも使われていたかと思いますが,かれが "walk the second mile" というときの一つのイメージにあっているように思われます.


この "walk/go the second mile" という表現は、聖書(マタイによる福音書)の一章(「右の頬を・・」が出てくるのと同じ箇所)にでてくるイエスの教えに由来すると教えてもらいました.この章は、関連する箇所(ルカによる福音書第6章)とあわせて考える(のがよいのかどうかわかりませんが—これはシュライらの本で検討されている問題)と、復讐や見返りをもとめず積極的自発的に行動せよとの教えが含まれているものと見えます.(この節、10/8追記)

Paul Keve & Albert Eglash "Payments on 'a Debt to Society'" NPPA News vol. 36. no.4 ,pp 1-2 (1957).

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