2011年4月21日木曜日

David Goode "Construction and Use of Data in Social Science Research" 1994: 125-164.

表記の教材の日本語訳を教材サイトに追加しました.(パスワードが必要).

本章は、Garfinkel (2002: 153-162)でも取り扱われている電話のベルのエクササイズの簡略化された説明から始まり、その解明を議論の枠組みとして用い、ディスアビリティーの分野における3つの異なる方法を採用する研究を素材にして、社会研究におけるデータと対象("the lived orders"、ないし"the phenomenon")の関係を解明しようとするものです.

著者によるこの解明の関心は、方法論を中心としながら、研究という活動による「知っていること」の「報告」がいかに具体的に構築されていくかという問題(本章冒頭のハバーマスの引用から借りて「認識論的問題」と言われています)にあります.先週読んだ本書のイントロダクション(pp. 1-2)でもこの問題が—言葉のない世界をいかに言葉で提示するか、という形で—提示されていました.

ガーフィンケルの実習+図式は、具体的な開示的(啓発的)セッティング(a perspicuous setting)として、さまざまな利用ができます.その意味では、本章の議論は、Garfinkel 2002 と比較してみるのも、面白いと思います.著者の取扱い方は、このセッティングがいかに社会科学の認識論/方法論の問題に光をあてるために活用できるかについての価値ある研究例になっていると思います(指導教授のMel Pollnerの関心も引いているのでしょう).とりわけ、ビデオデータの扱い方、エスノグラフィカルな研究におけるエスノメソドロジカルな視角の実践法について、著者の生きた声が聞けるものとなっており、私もそうですが、そうしたデータと格闘している人には非常に参考になると思います.

画像は、ガーフィンケルの図式にもとづく著者の図式 (p.129)の日本語訳です.

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