本日のEMCAセミナーの教材、Jim Schenkein "Identity negotiation in conversation" (1978) のやや詳しい抄訳(注なし)を作成し、EMCAセミナー教材配布ページにのせました (要パスワード) .
本研究は、制度的トークの分析の一つの形と思います.通例的なCAとの関係については、議論の余地があるかもしれません.
制度的知識を相互行為の中で有意味に動員しようとする場合、どのような方法があるのかという相互行為技術的な問題があります.この問題が処理されないと、制度的視点が相互行為的に確保されないため、役割にもとづく相互行為を実現することができないことになります.
ところが、先週の最後のほうのディスカッションで話題になったように、制度的アイデンティティや制度的知識は、直接的な定式化を行なおうとすると、無限かつ無味乾燥なものになり、その生気が失われてしまいます.定式化と知識の関係は、法律の条文と判例の文章のような関係でしょうか (後者には比較的に生気があります).
本論文では、アイデンティティを豊かに含むパズルを出題する (identity negotiation の1つの型式)という方法が描かれています.これは、制度的知識を定式化することなく、相互に伝達して了解する方法としての性質を備えているように思います.
Schenkeinさんの論文では、他に2つのものが印象に残っています.
Ryave Alan L. and Jim M. Schenkein, 1974. “Notes on the Art of Walking.” Pp. 365 -74 in Ethnomethodology: Selected Readings, edited by R. Turner.
Jim Schenkein, "The Radio RaidersStory," in George Psathas, ed., Everyday Language.
写真:制度的知識にもとづくインストラクションの例.画面右奥の木々は、その向こうに見える裁判所・検察庁と、道路をはさんで対面する位置にある小学校の間の眺望を遮る目的もあって植えられたとのことです.(2010年9月、相模原市で撮影)
Schenkeinさんは、いま、どこで、何をしているのでしょう? Mick
返信削除