2009年8月7日金曜日

Lucy Suchman & Brigitte Jordan, Interactional Troubles in Face-to-Face Survey Interviews (1990)

表記の論文の抄訳をEMCAセミナーのサイト(教材配布ページ)にのせました(教材配布ページへのアクセスは、パスワードが必要).本日8月7日のセミナーの教材です.組織された認識の様相をテーマとする、今学期のセミナーの最終回です.

本論文はサーベイインタビューでの相互理解にかかわる諸条件とトラブルとを検討しています.通常会話とサーベイインタビューを比較し、えられるデータの妥当性を検討するもので、問題意識とアイディアは、先週取り上げたCicourelの論文とほぼ同一と言えますが、より整理され、わかりやすくなっていると思います.また、調査員の訓練という要因にも目が向けられています.

データは、研究目的で作成された、実際の標準的学術調査(NHIS,GSS)のインタビュー(実際の質問者、回答者)のビデオ記録です.また、CAの成果を議論の基礎にしている点も特徴的です.

標準化された質問を問題にしていますが、相互行為トラブルは、他者によって作成された質問を実行するという限定された役割から生じるものとして分析されており、質問のデザインの内容(標準化という関心)それ自体を扱っているとは言えない点、やや残念です.分析が前者に限定されると、相互行為ないし社会的意味了解の組織の分析というより、相互行為の様相としての自然さの分析に限定される傾向がでてきます.ただし、自然さは、相互了解のための重要な資源・環境・制約条件ですから、この問題は、後者(相互了解の組織化の問題)に連続するものではあります.

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