2010年12月21日火曜日

法社会学ゼミ交流会

12月18日(土)、午前10時50分〜午後5時すぎまで、神戸大学、同志社大学、大阪市立大学、静岡大学、の4大学の5つの法社会学ゼミの、合同研究発表会が開催されました.研究発表はつぎの6件でした.


1 神戸大学・樫村志郎ゼミ・3回生 
「スポーツは社会をよくするか」
9つの国民体育大会の開催の年の前後でのその道府県で刑法犯認知件数の増減を調べ、当年から翌年にかけては8件について減少しているという知見を報告し、国体のさまざまな運営上の特徴(ボランティア、県民運動、環境整備など)から説明しようとしたものです

2 同志社大学・木下麻奈子ゼミ 
「これからの『法の実効性』の話をしよう」
複数の既存研究を用いて、飲酒運転の厳罰化の結果を検証し、また飲酒運転取り締まりの国際比較を行なうことで、厳罰化の効果が短期的なものにとどまるなどの解釈を報告し、また厳罰化傾向に経験的基礎がない可能性を示唆したものです.

3 大阪市立大学・阿部昌樹ゼミ 
「国籍法違憲訴訟最高裁大法廷判決」
司法の積極性/消極性に関する関心から、国籍法第3条(日本人の母から出生し父から認知された子について両親の婚姻による嫡出子になることを、国籍取得の要件とする)が違憲であるとする最高裁判決の、社会的背景・権利運動・裁判官構成・国会の対応という一連の過程をあきらかにしたものです.

4 神戸大学・高橋裕ゼミ 
「ルール遵守意識に対する調査」
インターネット調査を企画・実施し、ルール遵守の条件としての道徳意識や他人の眼の存在、市民感覚と裁判判決のずれ、裁判・法廷・法律家へのイメージ、裁判情報への接触などの諸問題を検討したものです.

5 神戸大学・樫村志郎ゼミ・4回生 
「悪とは何か−詐欺から学ぶ悪の仕組み」
昨年からの継続課題で、5人の学生への実験的インタビューにおいて、3件の詐欺事件の悪性の比較とその理由を求めることで、各人について悪に関するストーリーの構築過程をあきらかにしたものです.

6 静岡大学・藤本亮ゼミ 
「犯罪者プロファイリングは日本でどこまで活用されているのか」
いわゆる「犯罪者プロファイリング」の概念、起源と歴史、欧米での利用の現状、日本における適用例を検討し、日本においては、組織的、学問的諸条件が未整備であるためなどから犯罪捜査への応用可能性がまだ限定されていると示唆したものです.

指導教員の志向と学生の関心などを反映して、多様な研究を見せてもらうことができました.質疑応答では、教員も参加して、さまざまな論点が議論されました.夜は、六甲道駅近辺で、好例の懇親会が深夜まで開かれました.


写真:すでに終わっていますが、本年のルミナリエです.

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